Duonix Studiosが手掛けるホラーアドベンチャー『十羽の死んだ鳩(10 Dead Doves)』は、2024年12月13日にPC向けにリリースされました。PS1時代を彷彿とさせるローポリゴン表現と固定カメラアングルを取り入れつつ、奇妙で詩的な物語と心理的恐怖を織り交ぜた本作は、Steamで「非常に好評」の評価を獲得している注目のインディータイトルです。単なるレトロホラーの再現にとどまらない独自の体験を提供します。

詳細情報
- タイトル:十羽の死んだ鳩
- 開発元/パブリッシャー:Duonix Studios(Mark Byram II、Sean-Michael Millardも開発に参加)
- ジャンル:アドベンチャー、インディー、ウォーキングシミュレーター、精神的恐怖
- 対応プラットフォーム:PC(Steam)※Steam Deck互換
- リリース日:2024年12月13日
- 価格:2,240円 セール価格: ¥ 1,792(20%オフ、7月11日まで)
- プレイ人数:シングルプレイヤー
- Steamページ: https://store.steampowered.com/app/1564540/_/
ゲーム内容

世界観とストーリー
舞台は2004年、アパラチア山脈の奥地。失われた名声を取り戻そうとするマークとショーンの二人は、都市伝説「アントファーム」の真相に迫る最後の冒険へと旅立ちます。
しかし旅はすぐに常軌を逸し、切断されたガス管、連絡の途絶、空から降り注ぐ死んだ鳥たち――そして、謎めいた存在「ザ・レン」の夢幻的な囁きへと連なる不可解な現象が彼らを飲み込んでいきます。
現実と幻覚が交錯する中で試される友情。『十羽の死んだ鳩』は、心理ホラーの枠を超えて、人と人との絆、記憶、そして”信じること”の意味を問う物語を描き出します。
主なゲームシステム
本作は戦闘要素を一切排除し、クラシックな三人称ホラーの形式を踏襲。固定カメラアングルと「タンクコントロール」による操作性は、プレイヤーに緊張感と没入感を与えます。ゲームパッドにも完全対応しています。
探索の核となるのは「ビジョン」の収集。これは特定のアイテムに宿る記憶を再生する、独自のオーディオログ的要素で、登場人物たちの背景を紐解く手がかりとなります。
また、環境内の多くのオブジェクトは調査可能で、世界観を彩るユーモラスなテキストや奇妙な描写が多数仕込まれています。時に「死に戻り」を繰り返しながら、プレイヤーは不死身の存在から逃れつつ物語を進めていきます。
本作ならではの特徴
『十羽の死んだ鳩』が他のホラー作品と一線を画すのは、その大胆なビジュアル表現とジャンルの垣根を超えた演出手法にあります。
あえて粗さを残したローポリゴンモデルとカクついたアニメーションは、PS1時代のゲームを思い起こさせる一方で、本作独特の不穏なムードを高めています。
さらに、進行に応じて視点やアートスタイルが大胆に変化する場面も用意されており、まるで異なる作品を体験しているかのような錯覚に陥ることも。
また、「SCP財団」的な神話体系を思わせる謎の設定群が、物語にさらなる奥行きを与えています。
声優陣による“ぎこちない”演技も、むしろ「普通の人間」が異常事態に巻き込まれるリアリズムとして機能。サウンドデザインは控えめながらも秀逸で、静謐なピアノや歪んだ弦楽器が、プレイヤーの心理にじわじわと浸食していきます。
エンディングは2種類あり、終盤の選択によって物語の結末が大きく分岐します。
日本語対応
2025年2月12日に実施された大型アップデートにより、日本語(UI・字幕)に対応済み。日本のプレイヤーも物語の深層までしっかりと没入できます。
総評とまとめ
『十羽の死んだ鳩』は、決して万人向けではありません。序盤のスローテンポ、慣れを要する操作系、理解を拒むような展開の数々――そのすべてが、プレイヤーに一定の“受け入れる覚悟”を求めます。
しかし、その敷居を越えた先に広がるのは、唯一無二の体験です。
『サイレントヒル』『クロックタワー』『Yume Nikki』など、過去の名作からの影響を受けつつも、本作は明確に“今”の時代にしか生まれ得なかったホラー作品といえるでしょう。物語性、演出、音楽、グラフィック、すべてが一体となり、「映画的インディー作品」として完成された姿を見せています。
ノスタルジーと実験性が見事に融合した『十羽の死んだ鳩』。その体験は、不気味で、優しく、どこか悲しい――けれど目を逸らすことができない、そんな魅力に満ちています。
Steamページでは現在、セール価格1,792円で販売中。あなたの中に眠る“怖いもの見たさ”を、今こそ呼び覚ましてみてはいかがでしょうか。
